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父は15年ほど前、命に関わる病気をし、腎臓を摘出した。写真が趣味だった父に、姉と2人で数冊の写真集を贈った。その中の一冊が心の琴線に触れたらしい。ある日、ぽつんと父がこんなことを言う。「元気になってこんな写真を撮る人になりたい。そう思ったら気持ちが前に向いたんだ。この一冊が命をくれたと思ってね。だから忘れないように、いつも側に置いているんだよ。」そう言えば、何度整理しても父が座る横の本棚に、古びたその写真集があった。15年もたって、照れくさそうにそんな話をする所が父らしい。父はその想いを実現させた。75歳の今でも、30キロ近いカメラバックを背負い、元気に自然の中を歩いている。私は父が生きていてくれることが何よりも嬉しい。そして豊かな感性で風景を切り取る父の写真が大好きだ。そんな父に勝手に弟子入りし、無理やり撮影に同行するひと時が、50歳を超えた私のゴールデンタイム。