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五月に入れば、山では一斉に山菜が顔を出す。うど、わらび、フキ、ぜんまい等々。灰汁が強い山菜の中でもぜんまいは手がかかる。湯を通し筵に広げ、幾度も揉みながら何日も乾燥させて保存する、といった具合で、田舎の人は盆や正月などハレの日に大事そうにそれを取り出しおかずを煮て祝うのだ。
昔は山菜採り名人として鳴らした祖母も、足の衰えとともに深山に入れなくなった。寂しいが、今ではシーズンともなると遠方に住む娘一家が馳せ参じ、ごっそり山菜を採ってくる。保存用の缶が空くことはない。「正月にはこれを煮たるけえ、また来いよ。」と言いつつぜんまいを揉む祖母の顔はなんとも嬉しそうだ。今祖母は、昔歩き回った山と大変だった育児からのごほうびを受け取っているのだろう。孫と山菜おかずを前に幸せそうな正月の祖母を思い浮かべ、私も幸せに浸っている。