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2008年受賞作品

銀賞

  • タイトル
  • 多摩の横山
  • 受賞者
  • 東京都 三吉 元 85歳
  • 賞品
  • JTB旅行券5万円分

『多摩の横山』三吉 元

我が住居は言う所の『多摩の横山』の麓。整備された2百段の石段を上がって行くと中堅スーパー・ストアが私を待つが、その高低差40㍍もある。以前なら見上げて溜め息を付いたものだが今はそうでない。加齢とともに「なにくそ」と高揚の気分になっている。
最近、新築家屋が建て込んできているのだが、それでもウグイスやコジュケイなどの野鳥が、この石段付近で鳴き交わし、「あヽ有り難うヨ」の気持ちさえ湧いてくる。
店での食料の買い方にも工夫をこらす。メモに書いた食品以外には色目を使う事なく1週間ぶんをバック・パックと手提げ袋に振り分けて階段を下りてくるなら『膝が笑い出す』のはトシ相応だから仕方ない。考えてみるとヒマなら一杯ある『後期高齢者』など何も急ぐ事はないのだ。慎重に手摺りを掴み歩を進めて、転んだりして他人に迷惑を掛けさえしなければいい。
 息子から『払い下げられた冷蔵庫』さえ高性能だ。便利である。我が部屋の南面に8㎡の植え込みがある。『生ゴミ』さえ最小限に抑え、切り刻んで土に戻すのだが、この自己満足は誰からでも称賛される、と自画自賛している。
『常在戦場』は私の座右の銘。幸い身体の老化は各部分が平均して進行中、を自覚しているからこそ、8㎏の砂袋を背負い4㎞の道を歩いている。

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