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2007年受賞作品

銀賞

庖丁を研ぐ時
東京都 丸山 修身(まるやま おさみ) 59歳
JTB旅行券5万円分
50名
 子供の頃から何でも刃物を研ぐのが好きだった。今はもっぱら庖丁を研いでいる。  最近は砥石を持たない家が多い。そこで親しい友人宅を訪ねる時は、バッグの底に砥石を忍ばせていく。頃合をみて切り出す。 「奥さん、お宅の庖丁は切れますか?」  たいていは切れなくて困っているという返事が返ってくる。そこからが僕の出番だ。  バッグから砥石を取り出し、驚いて大笑いされるのを尻目に、研ぎ始める。シュ、シュ、と研ぎがかかっていく軽快な音が、たまらなく耳に心地よい。薄汚れていた刃がすぐにまばゆいばかりに銀色の輝きを見せ始める。 「奥さん、ネギでも切ってみてください」  促されて奥さんは興味津々で刃を当てる。 「わあー、良く切れるわあー。助かったわあー。ありがとう。すごいのねえー」  ちょっとした手作業で魔法のように生き返った庖丁。これぞ至福といっていい。世の男達よ、庖丁を研ごう。家庭円満のためにも。